2022年5月16日月曜日

FIREに必要な投資元本は何万円?サイドFIREの場合も計算してみました。

 FIREに必要な投資元本は何万円か?

 FIRE(Financially Independent REtirement)はアメリカ発祥の考え方ですが、日本でも若年層を中心にFIREを目指す人が増えてきています。高校での投資教育も始まったことですし、日本でも株式投資に関心を持ち、FIREを目指す人がさらに増えるでしょう。そこで考えておく必要があるのは、FIREに必要な投資元本は何万円か?という問題です。

 FIREを達成するためには、生活費の抑制投資元本の確保ポートフォリオ利回りの向上が大切です。そこで、FIRE後の生活費の金額やポートフォリオ利回りについて検討してみました。サイドFIREの場合も後ろに記載していますので比べてみてください。

FIRE後の生活費は月何万円が目安?

 私は、FIRE後の生活費は極力抑えたいと考えています。FIREの目的が労働からの早期解放であり、贅沢な生活を望んでいるわけではないからです。とにかく労働から脱却したい、との思いで日々FIREに向けた投資に励んでおります。目安となる月々の生活費は以下のように考えています。

 住居費:11万円/月

 年金・住民税・保険:3万円/月

 食費:2万円/月

 電気・ガス・水道:1万円/月

 娯楽費・雑費:1万円/月

 予備費:2万円/月

 合計:20万円/月

が私の場合の試算です。住居費がかなり高いですが、在宅時間が長いため自宅の立地はあまり妥協する気がないためです。苦痛を避けたいのがFIREを目指す理由なので、苦痛をしのんで気に入らない住居には住むようでは意味がありません。その分、水道光熱費や娯楽費が抑えられる他、自動車などの車両は絶対に保有しません。通信費は楽天モバイルなどで無料に抑えられる他、現住居ではインターネットを低価格で利用できています。人と多く関わることを好まないため、交際費も発生しません。住居費は平均的なFIRE投資家よりかなり高く、固定費削減の観点からはダメですが、他の費用が異常に低い生活スタイルのため、許容範囲と思います。交際費や自動車代がかかる方は、その分住居費を抑えて支出合計が月20万円以内になるように工夫してみると良いと思います。

 この試算については、FIRE後に努力してこうしたいというものではなく、今の生活から労働を除いた場合に税金などが減ってこうなるという計算です。食費はもう少し安いのですが、ふるさと納税でお米をもらったりしていますので、今より少し多めにしています。家電が壊れた場合などは予備費で対応します。とにかくFIREを早期実現したいので住居費以外は支出が最低限となっており、無理な節約はしておらず現状、苦痛に感じていないのでむしろもう少し費用が余ると思われます。また、どうしてもマズい状況が生じた場合は転居すれば生き延びることは可能です。

FIRE後の生活イメージ

 FIRE後の生活についてもイメージしておく必要があるでしょう。といっても、私はサラリーマンではないため、生活時間は仕事の繁閑に応じてバラバラです。労働日と休日の境目も不明確ですし、1日当たりの労働時間も一定ではありません。そのため、FIRE後の生活にもスムーズになじめるのではないかと思います。FIREした個人投資家の1日のスケジュール例を考えてみましょう。

 6:00 起床

 7:00 朝食

 8:00 相場チェック

 9:00 大リーグか何か見る・買い物

 12:00 昼食

 13:00 ブログ執筆、電車かドラマでもうだうだ見る、時々お散歩しても良い

 18:00 夕食・野球でも見る

 21:00 経済ニュース見る

 22:00 入浴・就寝

 FIRE後は時間を持て余して困るという意見がありますが、閑散期は上記のような生活をする日もあり私の場合は快適です。というか、今の仕事が嫌いなのではなく労働すること自体が苦痛のため、暇に感じたとしてもそれは快楽です。趣味と言えるものも野球と電車と株くらいでして、野球はテレビで見ればタダですし、駅の近くにしか住まない方針なので電車もタダで見放題です。株はむしろ利益を生みますので問題なしで、趣味代は月1万円もかからないと思います。また、個人事業主のためFIRE後も廃業はせずに、暇な時間が多くてどうしても苦痛になれば少し労働をやればよいと考えています。

 また、早寝早起きを心がけることで電気代を削減できるほか、健康維持にも繋がります。自動車を持たない生活なので、買い物等で歩く場面はあるのですが、気候によっては少し体を動かす外出もしておき、病気による臨時費用が生じないようにしたいです。

FIRE後のポートフォリオ利回りの目安は何%か?

 FIREを目指す配当生活ファンドでは、2022年5月時点で原価に対する税引き後の利回りが3.3%ほどです。アメリカではFIREの目安として4%ルールが提唱されているのと比べると低い水準です。ただし、配当が中途半端な割安成長株が含まれていることから、実際には4%達成は可能と考えています。

 アメリカの4%ルールは税金を考慮していないのですが、4%の根拠は「株式投資の期待収益率7%-期待インフレ率3%」です。日本では期待インフレ率が3%もないと思いますので、税引き後でも4%達成は可能と考えています。金融所得課税の強化で増税になったらFIREが破綻するのかどうかですが、高配当株が割安になる可能性があることや、どうしてもだめならプチ労働で凌ぎます。連続増配株への投資で、元本に対する利回りアップを狙ったり、アメリカにはない株主優待の恩恵を受けたりすることで4%は達成可能でしょう。

FIREに必要な投資元本は6000万円

 上記のように、FIRE後の生活費は月20万円(年間240万円)でストレスなく賄えそうです。また、ポートフォリオ利回りは4%ルール通りが可能と思われます。そのため、240万円÷4%=6000万円がFIREに必要な投資元本ということになります。6000万円を労働による利益だけで蓄積するのは大変苦痛でしょうが、キャピタルゲインやインカムゲインを積み上げていけば達成は可能です。相場暴落時に割安銘柄を狙ったり、割安成長株でダブルバガーを目指したりすることで、着実にFIREに必要な6000万円を確保する方針です。

サイドFIREなら3000万円で達成可能

 労働の苦痛からの解放を目指してFIREする場合、FIRE実現に大量の労働が必要になるという本末転倒な状況に陥りやすいです。より早期に労働による苦痛を緩和したい場合は、サイドFIREを目指すと良いでしょう。

 サイドFIREとは、一定の労働を行いつつも投資による利益で生活費の多くを賄うスタイルです。「一定の労働」がどのくらいなのかは人によって様々と思いますが、私は「パート収入ぐらい」がサイドFIREの目安と考えます。家計を1人で支えるのは無理だけれど、家計の支援にはなるレベルとして適切と考えるからです。

 パート収入と言えば「103万円の壁」が有名です。ここでは計算をわかりやすくするためにもう少し多く働いて、年間120万円(月10万円)を労働で得ることにしましょう。すると、生活費20万円/月-パート労働10万円/月=10万円となり、サイドFIREに必要な金額はFIREの半分3000万円で済みます。3000万円であれば達成のハードルが一気に下がるのではないでしょうか。

 実際には夫(妻)の扶養に入るパートと異なり税金や保険料が多少上がってしまうため3000万円よりは少し多く必要になるでしょう。ただ、私の場合は年間120万円を狙う場合に月10万円×12のようなきれいな形はとれず、月々のゆがみがかなり生じます。そのため、足りないときは少し多めに働くイメージをしておけばよいと考えています。

 むしろ、FIREを達成して完全にリタイアしてしまうと、計算が狂った際に労働を再開しにくいです。個人事業主の場合は少し働くという選択肢を取りやすいので、FIRE達成のめどを立てて完全に労働を放棄するのではなく、サイドFIREに必要な投資元本3000万円を確保できた段階から、徐々に労働を減らしていく方向が望ましいかなと思います。そもそもサイドFIRE1年目は前年の労働に対する税金・保険料を納める必要があり、いきなりパート水準の労働に抑えるのは無理があるともいえるでしょう。