2022年5月20日金曜日

FIREに向いている投資は日本株?米国株?不動産投資?

FIRE達成には何に投資すべきか?

 FIRE達成には投資元本6000万円を貯めて、4%利回りを確保することが必要です。この道筋は様々ですが、労働だけで貯めるのは難しく、投資で利益を得るのが基本でしょう。では、FIREを目指す個人投資家は何に投資すべきなのでしょうか。

 パッと思いつく投資先としては、日本株、米国株、不動産投資、投資信託が挙げられます。これらをうまく組み合わせることで、できるだけ確実かつ早期にFIREを実現したいものです。そこで、主な投資先ごとにFIREを目指す方法について考えてみました。

日本株投資でFIREを目指す方法

 日本株投資でFIREを目指す方法は、最も取り組みやすいです。日本株の情報は日本人が一番把握しやすいため、海外投資家よりも有利です。機関投資家が投資対象としない中小型株でも企業HPや投資情報サイト、各種ブログなどで情報収集がしやすいため、中小型株・割安成長株でキャピタルゲインも狙うことができます。

 また、高配当株に投資してインカムゲインを積み上げる投資手法でも、減配に繋がるリリース等に迅速に気付くことができます。FIRE達成後も日本株に投資しておくことで、資産を守りやすくなると言えるでしょう。

 一方、日本株投資には懸念材料もあります。まず、日本は海外と比べて低成長なため、株価も低迷する可能性があります。経済全体の成長による恩恵を受けられるアメリカ株の方が良いとする意見もあるくらいです。しかし、日本株の中でも成長力のある銘柄はあるため、日本語で多くの情報を得られるメリットを活かせば、日本株でもキャピタルゲインを狙うことは十分可能です。

 もう1つの不安要素としては、為替リスクです。日本株投資だと円安が進んだ場合に輸入物価が高騰して家計が苦しくなります。FIREの前提となる支出月20万円が膨らむ上、企業もコスト高により業績が悪化して株価下落や減配のリスクに要注意です。この点は日本株によるFIREの弱点なので、ドル建て資産もある程度保有すべきだと思います。

米国株投資でFIREを目指す方法

 米国株投資でのFIREは、FIRE発祥の地アメリカの成長力に投資する手法で、一番簡単そうに思えます。実際、アメリカではITバブル崩壊やリーマン・ショックを乗り越えてS&P500やNYダウは大きく上昇してきています。

 ただ、個別の米国株に投資する方法はFIREを目指す上でオススメできません。まず、企業の情報を得にくい点が挙げられます。実際にアメリカで生活していないため、アメリカ市場で各企業がどのような立場なのかをイメージしづらいです。また、英語での開示情報が多く、日本語での開示が中心の日本株と比べて得られる情報が限定的です。そのため、日本人が米国株投資でキャピタルゲインを狙うのは、確実性の点で日本株に劣ると考えます。

 ただし、日本株の項目で述べたように、ドル建て資産を保有することも大切です。そのため、米国株の高配当ETFに投資してみましょう。SPDRなどの高配当ETFがオススメです。高配当ETFに投資することで4%以上のリターンを確実に得ると同時に、相場暴落時に多く購入することで、キャピタルゲインもある程度狙うことができます。FIREを目指す際は、米国個別株ではなく米国株の高配当ETFを暴落時に狙うことが理想です。

不動産投資でFIREを目指す方法

 不動産投資でFIREを目指したいという人もいるでしょう。しかし、不動産投資は手間がかかる上、1物件当たりの費用が高額なため投資ではなく事業に分類すべきと思います。そのため、マンションを買って大家さんになるといった形の不動産投資は、FIREを目指す個人投資家は避けるべきです。

 ただし、不動産投資を小口で行う方法があります。Jリートへの投資です。Jリートは株式と同じように市場で売買できるため、流動性が高いです。また、10万円程度から投資できる銘柄も多く、投資対象も住居のほかに物流施設やホテル、ヘルスケア施設など多様です。Jリートは利益のほぼ全額を分配するのが一般的なため、インカムゲイン狙いの投資に適しています。

 注意点としては、キャピタルゲインを得やすいのは相場暴落時に限られることと、金利が上昇した場合に利益が圧迫されることがあります。ただ、日本の金利がアメリカのように高水準になることは考えづらいため、3000万円を確保してサイドFIREが可能になればJリートをポートフォリオに組み入れるのも良いと思います。

投資信託のつみたて投資でFIREを目指す方法

 投資による資産形成やFIREに興味があるものの、個別銘柄の売買には自信がない人もいるでしょう。投資初心者でも安心して取り組みやすいのが投資信託のつみたて投資です。つみたて投資についてはつみたてNISAやiDeCoなどの税制優遇策も取られており、老後2000万円問題を解決するためにも興味がある人は多いでしょう。しかし、FIRE実現につみたて投資を選ぶのは今一つだと思います。

 というのも、つみたて投資はあくまでも中長期的に着実に資産を形成する方法だからです。定年までに2000万円貯めたいといったニーズには合いますが、労働が苦痛なので早期リタイアしたいFIREを目指す個人投資家には時間がかかりすぎます。つみたて投資でのFIREは、年収1000万円以上稼げるサラリーマンなど入金力にかなり自信がある場合に限った方が良さそうです。

日本人のFIREには日本株+米国株ETFがオススメ

 不動産投資はハードルが高く、つみたて投資は時間がかかりすぎるため、FIREには適しません。日本人のFIREには、日本株での個別株投資と、米国株高配当ETFの組み合わせがオススメです。

 サイドFIREの投資元本を形成する段階(1000万円→3000万円)は、日本の中小型株で割安成長株を探し、キャピタルゲインを狙う投資が軸になります。そのため、「日本株60:米国株ETF20:現金20」ぐらいの比率が良いでしょう。

 サイドFIRE達成後~FIREを目指す段階(3000万円→6000万円)は、インカムゲインの額も大きくなり守りの要素も大切になってきます。そのため、「日本株40:米国株ETF40:現金20」のように米国株ETFに資金をシフトすべきです。資産額3000万円達成の際に日本株で売却益を出すと思うので、受け取った現金を米国株ETF投資に回すと良いでしょう。