2022年5月7日土曜日

20代・30代でFIREを目指すならおすすめは集中投資?分散投資?

FIREを目指す投資家には集中投資と分散投資どちらがおすすめ?

 FIREやサイドFIREを30代や40代など早期に実現するには、労働による入金に加えて投資で3000万円~6000万円の元本に近づけることが大切です。そこで考えたいのが、集中投資と分散投資のどちらが望ましいかです。

 集中投資であれば1銘柄がテンバガーになるなど大当たりすれば、いきなりFIREを達成できるチャンスがあります。ただし、相場暴落などで資産を大きく減らすリスクも高いです。また、株価が伸び悩めば、資産額は増えたとしてもFIREには至らないでしょう。

 分散投資の場合は、株価が低迷する銘柄があっても、他の銘柄でカバーすることができます。投資の世界では「卵を1つのカゴに盛るな」と言われており、分散投資が基本です。しかし、20代、30代でFIREを実現し労働から逃れたい場合は、分散投資だと時間がかかりすぎることもあるでしょう。

 そこで、集中投資でFIREを目指す場合、分散投資でFIREを目指す場合のそれぞれについて、実現可能性や実現にかかる期間を考えてみました。

集中投資でFIREを目指す場合

 集中投資でFIREを目指す場合は、割安成長株への投資が望ましいです。PERが高く値動きの激しい新興株などを狙う方法もありますが、リスクが高いです。労働が苦痛で30代などでFIREを達成したい場合、1銘柄で大失敗しただけで生涯労働が確定するのは極めて不安でしょう。

 割安成長株に集中投資する場合、さすがに1銘柄に全資金を投入する投資家は少ないと思います。ここでは、投資元本1000万円を元手に、4銘柄に集中投資する場合、数年後の資産額を考えてみましょう。

 割安成長株1:200万円投資→ダブルバガー達成で400万円に

 割安成長株2・3:200万円投資×2→株価1.5倍で伸び悩みも300万円×2に

 割安成長株4:200万円投資→株価停滞で200万円のまま

 残金200万円は現金として相場暴落に備える(←かなり重要)

 この例では、1000万円が1400万円に伸びています。割安成長株を厳選し、2~3年でこの例のような株価推移を実現することは可能でしょう。直近IPO銘柄で株価が低迷したものや、成熟業界での成長企業などを狙えば、株価の下値を限定しつつダブルバガーを狙うことができます。

 数年で400万円資産額が伸びるだけではFIREには程遠いですが、月10万円程度の入金を継続すれば資産額はより早く伸ばせます。例えば、3年間月10万円を入金すれば、1400+360=1760万円になっている計算です。実際には入金力により新たな割安成長株を購入できるうえ、配当を出す割安成長株もあるので資産額はより大きくなります。

 今回の例では、1銘柄に投資元本の20%を投じる試算を行いました。実際にはもう少し分散して、1銘柄に10%程度を投資する場合でも、集中投資と言えると思います。投資タイミングについては時間分散が望ましいため、銘柄によって資金の10%~20%程度を集中投資すると良いと考えます。買い集めているうちに株価が上昇を始めた場合は、10%に達しなくても許容です。

 集中投資の場合、年利回りで15%程度が目標です。この利回りは株式の平均収益率7%の倍以上と高いですが、7%は大型株の影響が大きい平均値ですので、中小型株に多い割安成長株に限れば可能と思います。個人投資家が大きな利益を狙える中小型株を発掘していくと良いでしょう。

分散投資でFIREを目指す場合

 分散投資でFIREを目指す場合でも、配当金の複利効果で増やすだけでは不十分です。「72の法則」によると4%複利でも資産が2倍になるのに18年かかるからです。

 そこで、分散投資の場合でも割安株を狙うことになります。割安成長株を集中投資の場合より多く探して分散するのも良いですし、割安高配当株の値上がりを狙っていくのも良いでしょう。

 割安成長株への分散投資では、数年で50%程度の値上がりが見込める銘柄を多数見つける必要があります。リスク分散とキャピタルゲインの確保を両立し得る良い方法ですが、銘柄発掘に時間がかかります。時間に少し余裕のある個人投資家にオススメの方法です。

 割安高配当株への分散投資は、インカムゲインを確保しやすいメリットがあります。FIREに向けて着実に前進できるほか、FIRE後に資産を守るスキルも身に着きます。ただ、30代でのFIRE達成にはキャピタルゲインも不可欠です。そのため、割安高配当株への分散投資は、相場暴落時や権利落ち日など、株価が低迷したタイミングを強く意識しましょう。

 割安高配当株の選び方としては、配当利回り4%+株価回復10%強=年15%程度の利回りを目指したいです。この点は、集中投資の場合と同じですね。

割安成長株への集中投資がFIREへの近道

 20代・30代など早い段階でFIREを実現したい場合、割安成長株への集中投資が近道です。割安成長株は「業績成長×PER修正」によって一気に株価が上昇するチャンスが大きいからです。割安に放置されている中小型株から成長力のある銘柄を見付けたり、IPOセカンダリー投資で人気薄の銘柄を拾ったりすると良いでしょう。

 ただし、ダブルバガーを達成しても、投資元本が小さすぎると効果は限定的です。FIREを目指す投資家は労働を苦痛に感じている場合も多いでしょうが、最初は労働で収入を確保し、入金力を活かして投資元本1000万円程度を確保します。その上で、割安成長株への集中投資でFIREに必要な6000万円へと駆け上がっていきたいものです。

優待株や割安高配当株への分散投資はFIREへ向かう投資家のメンタルを支える

 FIRE実現には労働による入金力強化や投資の継続が不可欠です。労働にかかる時間や心の余裕度を踏まえながら、割安高配当株への分散投資~割安成長株への集中投資を選択しましょう。

 現実的には、FIREへの近道である割安成長株への集中投資を軸としつつ、優待株や割安高配当株にも分散投資することで、落ち着いた心理状態でFIREの元本形成に繋がる投資を行えると思います。FIRE達成後の投資ノウハウを同時に身につけることができるほか、相場暴落時にも株価がヨコヨコの銘柄を売却して極端な割安成長株を仕込む資金にも使えます。

 FIREを目指す配当金生活ファンドでは、

  ①割安成長株への集中投資:50~60%程度

  ②割安高配当株・米国高配当株ETFへの分散投資:30%程度

  ③相場暴落を待つ現金:10~20%程度

に資産配分しています。分散投資の部分で米国高配当株ETFを組み入れることで通貨分散とアメリカ経済の成長力を取り込む狙いです。少し分散投資への配分が大きいような気もしますが、この辺りは投資家それぞれがFIRE達成を目指す年代や入金力に応じて調整して良いでしょう。