2022年5月14日土曜日

20代・30代でFIREを目指す理由とは?

20代・30代など若年層がFIREを目指す

 アメリカの20代・30代の間では、FIREが大人気となっています。もともとアメリカは投資に意欲的な国ですが、近年は若年層の投資意欲が高まっているようです。

 日本でもFIRE人気は着実に高まってきています。少し前まではセミリタイアや早期リタイア、配当金生活などと言われていましたが、投資による収益で生計を立てる方法としてFIREやサイドFIREといった言葉を見聞きする機会が増えているように感じます。

 日本の家計は株式などのリスク資産を嫌い、銀行預金やタンス預金などの貯蓄が多いとされています。アベノミクス下で「貯蓄から投資へ」の流れが進んだことは事実ですし、NISAやiDeCoなど資産形成を後押しする税制優遇が関心を集めていることからも、着実に日本人にも投資は浸透していくでしょう。しかし、投資に関心を高めているのは、50代など貯蓄が多めの世代だけではありません。

 コロナ禍において、日本でも20代、30代がFIREを目指す動きが出てきています。労働力不足が深刻な日本では、20代や30代で労働収入を全く得られない人が多い状態とは言えませんが、投資により仕事を辞めたいと考える人が多くなっています。私もまったく同感ですので、改めて20代・30代でFIREを目指す理由を整理してみました。

日本の20代・30代は社会保障制度への不安が大きい

 まず、社会保障制度への不安が大きいです。以前、「老後2000万円問題」が話題になりました。老後に2000万円を確保するだけでも努力が必要ですが、厚生年金があり、夫婦の年金を合わせて生活をし、住宅ローンの返済が進んでいる場合でも老後の家計は苦しいということです。私のように個人事業主で国民年金だけだったり、独身だったりすれば、2000万円では足りなくなる場合もあるでしょう。

 そもそも2022年時点では、標準的なパターンで年金は65歳から受給できます。しかし、社会保障費の増大が進む中で、中長期的には実質支給額や所得代替率の引き下げ、受給開始年齢の引き上げが行われることは不可避です。そのため、社会保障制度は脆弱化し、「老後2000万円問題」が「老後3000万円問題」や「老後4000万円問題」に発展することが予想されます。

 社会保障制度が不安定化する中で、貧乏老人にならないためにも資産形成が重要です。特に複利効果を得るためには早期から資産形成に取り組む必要があり、20代・30代など労働収入を得始めたらすぐにでも投資を始めることが望ましいです。長寿化が進む中で自分がいつまで生きるかわからない以上、20代・30代がFIREを達成し資産の減少を回避することは当然と言えます。

日本では手取り収入に見合わない労働が辛すぎる

 失業率が低水準で労働力不足が深刻な日本では、20代・30代が全く仕事にありつけない場合は限られます。しかし、社会保険料の増大のほか、生産性の低い職場が多いこともあり労働で得られる手取り収入は限定的です。サラリーマンの平均年収が400万円台などと言われる時代ですから、手取りだと月収20万円台が平均レベルということです。

 仕事が楽しければよいですが、労働力不足が深刻なため1人あたりの労働負担が大きくなる場合があります。また、自分が希望する職種に就けるとも限らず、職場の人間関係などもSNSの普及もありなかなか難しいです。そのため、労働の身体的・精神的苦痛や拘束時間の長さに対して、手取り収入が全く見合わないと感じる20代・30代が多いのではないでしょうか。

 年功序列賃金制度が崩れつつあるとはいえ、20代・30代で高額の報酬を得られる仕事は稀です。そのため、多くの20代・30代は生きるために苦痛な低賃金労働を余儀なくされます。労働の苦痛から解放されるべく、FIREを目指すのは必然と言えるでしょう。

FIREできれば人生の選択肢が広がる

 20代・30代でFIREを目指す投資家には、労働を苦痛と感じる労働嫌いタイプの他に、労働を(より)楽しくしたいタイプの人もいます。こうしたタイプの人は、人生の選択肢を広げるためにFIREを目指しているようです。

 というのも、多くの生活費を得ることを重視すれば収入の高い仕事を選ぶことになり、結果として職種や職場が自分に合わない場合も多くなります。ところが、投資元本3000万円を確保してサイドFIREを実現すれば、アルバイト収入でも生活は可能です。

 そのため、収入の高低ではなく、自分が楽しいと思える仕事に転職するという選択肢が出てきます。また、サラリーマンであれば脱サラしてスモールビジネスを始めたり、地方部に引っ越して都会の喧騒から離れたりといった選択もしやすくなります。同じ会社に勤め続けるとしても、FIREを達成すれば「いつでも仕事を辞められる」という心の余裕を持てるのです。

 私のように、「労働が苦痛だから仕事を辞めたい(FIREしたい)」と考えている個人投資家も、実際に3000万円でサイドFIREすれば、労働の苦痛が大きく緩和されるかもしれません。FIRE後もプチ労働を続けることで少し贅沢な暮らしを実現したくなることもあり得ます。いずれにせよ、FIREを達成した方が金銭面だけでなく、心理的にも豊かな人生を送れるので、「入金力UP→割安成長株・高配当株に投資→20代・30代で6000万円FIRE」を実現しましょう!