2022年5月3日火曜日

FIREを目指す配当生活ファンドの保有銘柄・注目銘柄-伊藤園第一種優先株式(25935)

 ・伊藤園第一種優先株式(25935)の事業内容

 伊藤園は「お~いお茶」ブランドが高い知名度を誇る飲料メーカーです。伊藤園やお~いお茶を全く知らない日本人はかなり少ないと思われます。日本の上場企業では珍しく議決権がない代わりに配当が多めにもらえる優先株を発行しています。個人投資家の場合、議決権を重視する人は少ないでしょうから、伊藤園のように優先株を発行する上場企業が増えてほしいですね。

 緑茶事業は、ギネス登録を受けるなど国内で高いシェアを誇っています。ただし、キリンやコカ・コーラ、サントリーなどの茶系飲料も検討しており、シェアの維持には一定のコストがかかると考えています。一定の利益を維持できるのであれば、無理にトップシェアを守ろうとしなくても良いようにも感じます。

 緑茶以外の飲料事業については、「健康ミネラル麦茶」などの茶系飲料の他、タリーズブランドを活かした甘みのある飲料なども製造しています。伊藤園のラインナップは緑茶飲料に偏りすぎているため、他の飲料事業を伸ばすことが急務です。自動販売機向けの輸送ネットワークなどは緑茶飲料でトップシェアの伊藤園がスケールメリットを活かせる分野のため、茶系飲料以外については逆に価格面での魅力を訴求するところから始めていくのも良いでしょう。

 伊藤園はタリーズコーヒーの運営も行っています。コロナ禍で大苦戦してきた事業ですが、アフターコロナ時代においては喫茶店需要の回復が見込まれます。また、タリーズブランドを活かすことで、緑茶以外の飲料市場でシェアを高めるチャンスに期待です。逆に、茶系飲料の製法などを活かしたドリンクをタリーズの店舗で積極展開するなど、相乗効果を意識した戦略を望みます。

 海外では北米事業を展開しています。人口減少で国内市場の拡大を見込みづらい中、海外事業を展開していることは評価できます。日本ならではのブランド力を活かした、堅実な事業成長に期待です。 インバウンド回復などで日本への関心を高めることができれば、緑茶を日常的に飲む外国人が増加することで、海外事業の成長につなげやすくなるでしょう。

・伊藤園第一種優先株式はFIREに最適な割安成長株・高配当株に当てはまるか?

 配当利回り=2.62%(2022年5月02日)

 PER=13.13倍

 配当性向=-%(優先株のため)

 現金同等物÷有利子負債=10倍以上(2021年4月)

 利益剰余金÷当期純利益=10倍程度

伊藤園第一種優先株式は、普通株の25%増しの配当がもらえます。ただし、足元では配当利回りが2%台半ばであり、高配当株には該当しません。また、PERを見てみると割高ではないですが、割安感も今一つ、成長性にも大きくは期待できません。ではなぜFIREを目指す配当金生活ファンドに向いているかといえば、財務が良好であること、ディフェンシブ銘柄であること、後述のように株主優待があることが挙げられます。ポートフォリオのリスク分散に役立つ、堅実な銘柄と言えるでしょう。 

FIREに向けた伊藤園第一種優先株式の活用法

 伊藤園第一種優先株式は、FIREを目指す上でリスク分散に活用しています。現金比率を高めておくことだけでなく、株式においても最低限の分散を行うことで、ポートフォリオの急減を防ぐことが可能です。割安成長株など攻める銘柄については、1銘柄当たりポートフォリオの10%前後などとし、ディフェンシブ銘柄は1銘柄当たりポートフォリオの1%程度とするなどメリハリをつける上で役立ちます。

また、伊藤園第一種優先株は4月末を権利確定月として、自社製品(飲料セット)の株主優待がもらえます。1500円相当の伊藤園飲料であり、10種類程度の缶飲料などがもらえるようです。優待株は株価の下値が堅くなるほか、投資をしているメリットを強く実感しやすい仕組みです。FIRE実現には一定の時間がかかるため、守りの銘柄では優待株も組み入れて、投資に対するモチベーションを高めると良いでしょう。 

FIREを目指す配当生活ファンドは伊藤園第一種優先株式に投資するか?

 保有数:100株

 今後の方針:ポートフォリオの現金比率により売却検討

伊藤園第一種優先株式は、FIREを目指すポートフォリオの守りの銘柄です。そのため、ポートフォリオの現金比率が極端に低い場合は売却するのもアリだと思います。FIRE実現のためにはキャピタルゲインを多く得ることも不可欠なため、伊藤園第一種優先株のような守りの銘柄を買い増しすることは考えていません。あくまでも最低単元の100株保有で自社製品の株主優待+普通株×1.25倍の配当をコツコツ得ていくことが良いと考えます。